4/20 田舎は遠きにありて想うもの
上越妙高・新潟間にデビューした特急「しらゆき」を写真に収めていたらの出来事であった。
北陸新幹線の流線型とおよそかけ離れた「ずんぐりむっくり」の先頭車両。ネーミングと同じ白と日本海のブルー、そして、天然記念鳥の朱鷺色でまとめられた新車のシートに疲れた筆者が身を沈めたのは新駅上越妙高駅からではなく、下ること4つ目の直江津駅であった。
新駅ができ、新幹線が通り、JR各社と第三セクターの縄張り争いの結果生じた不都合や不整合は旅行客や沿線住民など強き者と弱き者を明確にした。
日本海側縦貫線の貧弱なダイヤは目を追いたくなるような様〔ざま〕である。7時に新潟駅に着いたものの、羽越線経由の特急は田舎のバスや電車のごとく2時間3時間に1本の間引き運転。田舎に日の明るい内に変えるには1本の乗継で一日がかりだから恐ろしい。9時着きの昼時の出発には3時間の待ち時間、田舎は遠くにありて想うもの・・そのものである。
しかたなく、ホーム上に開店してしていた立ち食いそばをいただくことに。暖簾はごっついが
中身はいずこも同じ秋の夕暮れ・・のごとくスーパーで求めるそばより、評価は落ちそうだ。
140円の新聞を2回を読み返し、やっとご乗車する電車が入線してきた。「いなほ」という名にふさわしく先頭車両の形は「しらゆき」と同じ。色だけは「いなほ」のごとく黄土色と白のツートンカラー。。外観はその昔東海道線を走っていた特急「こだま」だったと思うほどの古い車体。
車体壁面には新潟は上越の「レルヒ少佐」と「朱鷺」のゆるキャラが客を待っていた。
やや薄日の漏れる日本海側を走る電車は新潟県を抜けるまでの長い時間を要した。波静かな海岸は奇岩や出入りの激しい海岸線が目の保養となった。ここは有名な「笹川流れ」
北陸新刊線のよりも大きな窓、一両に乗っている乗客の数は恐ろしく少ない。一桁であった。
鬼の投げ岩とか天の神が怒って真っ二つに割った岩だとか・・バスガイドさんの説明が飛び出しそうな景色の連続であった。
海岸線を走る道は昔から狭い。ましてや漁船などの出入りは限られる。そこで作られたのが漁船の出入りを妨げないように整備された高架橋である。以前数回車で港をまたいだのを思い出す。
桜前線は山形を越し、すでに秋田県に入っていた。「ソメイヨシノ」に変わりはないが何故か元気のいい枝ぶりに元気印の桜が出迎えてくれたのが雨後否雨後の国であった。