8/16 不戦を希求する天皇、世界に大戦の反省を出せない安倍政権
オリンピックは先回のロンドン大会より順調に成績が伸び、多くのメダルを獲得できそうだと胸をほっとなでおろしているように見受けられた。
また、高校野球も攻守ともに洗練された春夏出場校の見せ場がふんだんにあり、これまた、地元ファンならずとも楽しめる内容となっていた。
さて、71回目を迎えた終戦記念日、80歳を超える戦争体験者も減り続け、戦争の実態が風化しそうな時代に入ってきている。与党自民党は現在の日本は外交的に、厳しい環境下に置かれているとし、安保法制の改悪や集団的自衛権の確立など、改憲に舵を取り始める右傾ともみられる外交や防衛の施策が顕著だ。この時期、中国公船や300隻を超える中国漁船の日本接続水域への接近と侵入が両国の火種になりかねない状況になってきた。
そんな右傾化に警鐘を鳴らすごとく、テレビや新聞は8月15日を機に、連日これまで知られなかった戦争秘話やタブー視された日本人とアメリカ人の戦争への思いや戦争に人生を狂わされた人々の内実が紹介されていた、
その1 試写室:「緑十字機 決死の飛行」
14日に放映された表題の緑十字機は70年生きてきた飛行機好きの筆者には知りえぬ存在であった。
終戦は8月15日、天皇陛下の玉音放送によって世界に敗戦を認めた日本の立場だが、降伏文書に調印が為されない限り戦いは続く。事実この調印前に火事場の泥棒と同様の侵略が旧ソ連軍によって樺太、北方領土に及んでいた。マッカーサーはこれを抑えるために日本から軍使による降伏文書をマニラに送るよう命令したのだが、国内には終戦・敗戦を潔く認めない反乱軍が多く生き残っており、軍使派遣を阻止するとの動きもあった。軍使を載せる飛行機は準備されたがそれは旧陸軍の爆撃機一式陸攻2機であった。陛下による玉音放送から遅れること4日、8月19日に飛び立った白い機体2機がには緑十字の文字。降伏を認めた文書を運ぶ軍使19名が搭乗していた。
その2 映画:朝日系「日本のいちばん長い日」2015年
太平洋戦争が終結する8月15日前に軍部と政府と天皇の間で画策された出来事を赤裸々に描いた映画である。昭和天皇を本木雅弘、鈴木首相を山崎努、阿南陸軍大臣を役所浩司が演出。
陸軍の中でも一億総玉砕を叫ぶ急進派、天皇の意向をくみながら、次の日本を考える穏健派など、混とんとした終戦末期の日本の国情を如実に示した映画で記録であった。
改めて昭和天皇の国民を思うお気持ちと勝てば官軍の陸軍の猪突猛進の構図を見た思いがした3時間であった。今、政府与党は日本を取り巻く環境が極めて厳しいと国民をあおり、9条の削除、軍備の拡充、安保体制の強化など、一強多弱をてこに国粋政治にひた走りに走っていくようで不気味だ。